映画評論

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印象に残った日本映画 BEST200

順位タイトル監督製作年memo
1永遠の人木下恵介1961木下監督が好んで描いてきた善良な夫婦像の真逆。手籠めにして獲得した妻との地獄のような生活。それでも後半得体のしれない感動が生まれるのは監督の確かな演出と阿蘇の風景があるからだ。
「もう死にたいと思ったときに見る映画」として私はひそかに、そして半世紀以上想い続けている。
2孤狼の血白石和彌2017深作欣二監督亡き後、本格的現代やくざ映画で初めて成功していると思われる。俳優陣の張り切りが半端ではない。大人になった、いやおじさんになった江口洋介がいい。
3近松物語溝口健二1954刑場に向かう長谷川一夫がすばらしい。
4ふるさと神山征二郎1983この美しい風景を見ると自然を壊してまで、ダムを造る必要があるのだろうか?
5サード東陽一1978寺山修司脚本、主人公の母親役の島倉千代子がひかる。
6祭りの準備黒木和雄1975脚本を担当した中島丈博の自伝的作品、からみの多い中新人竹下景子が初々しい。
7十三人の刺客工藤栄一1963いわゆる集団時代劇の金字塔、濛々とした殺気がこの時代の雰囲気か?
8愛を乞うひと平山秀幸1998暴力の連鎖を鋭く告発する。今最も注目の中堅監督
9阿弥陀堂だより小泉堯史20022002年最良作。長野の自然と老人たちの織り成す人間ドラマ。ゆったりとした気分で鑑賞するとまた一味違った、味わいがあると思う。
10(秘)色情めす市場田中登1974いわゆる日活ロマンポルノの一本、営業とは言えひどい題名を付けたものである。当時、田中監督は幼い子供を亡くしこの映画に、怨念を込めるがごとく演出する。大阪西成に持ち込んだカメラは一人の娼婦の行く末を優しく見つめる。村田英雄の「王将」が流れるラストシーンは衝撃を受ける。
11女中ッ子田坂具隆1955子供を使った映画としては最良のものに近い。伊福部昭の音楽が素晴らしく、怪獣映画に使われているものを使用している運動会の場面は笑える。そして、ひんやりしたラストシーンの余韻は好きである。
12火まつり柳町光男1985一種異様な雰囲気が漂う映画である。差別と偏見が支配する共同体が崩壊していく過程がじわっと描かれる。私の地方の言葉で言うと「おそがい」映画である。
13ボクサー寺山修司1977寺山のボクシング論がおもしろい。J・Aシーザーの音楽がすばらしい。
14東京物語小津安二郎1953世界中が分析し尽くした映画。深い絶望と寂寥感はどの世代でも理解できよう。
15泥の河小栗康平1981「遊びにきたんか」子供のセリフが切ない。貧しい時代の日本がそこにはある。加賀まり子の復活がうれしい。
16太陽を盗んだ男長谷川和彦1979現在では絶対作れない映画。全編禁忌の世界、美しい沢田研二がそこにいる。
17冬の華降旗康男1978高倉健主演。任侠映画がやや下火になった時期に公開。セリフのない小林稔侍が実にかっこいい。
18帰らざる日々藤田敏八1978長野県飯田市を舞台にした辛口青春もの。
19七人の侍黒澤明1954アクションを思想にまで゛高めたと言われたのは、クロサワだけ。
20 みな殺しの霊歌加藤泰1968犯罪とやさしさは紙一重、倍賞千恵子主演。知られざる名作。
21神々の深き欲望今村昌平1968神話的な島を舞台にした膨大な物語。今村作品で未だにこの作品を超えたものはないと思うのですが・・・。
22海潮音橋浦方人1980山口果林の代表作。可憐な荻野目慶子もとってもいい。
23ひめゆりの塔今井正1953男の論理で始まる戦争。如何なる理由付けも意味がない。
24切腹小林正樹1962HARAKIRIという題名で海外公開される。竹光での切腹はやはり痛そう。
25二十四の瞳木下恵介1954涙の裏にリベラリストの顔が覗く。
26無常実相寺昭雄1970AVなき時代「芸術エロ」としてATG映画が一定の役割を果たす。最大のヒット作。
27Keikoクロード・ガニオン1979外国の映画監督が日本女性をきっちり描いていることの驚き。
28飢餓海峡内田吐夢1964津軽海峡を境に深い差別に翻弄される男と女。三国連太郎と左幸子の演技もすごいが家族との溝に泣く老刑事、伴淳三郎一世一代の名演技。
29雨月物語溝口健二1953宮川一夫のカメラに酔える。
30萌の朱雀河瀬直美1997素人をほんとにうまく使っている。
31となりのトトロ宮崎駿1988宮崎アニメの中でも一番の完成度。中高年にも楽しめる。
32少年大島渚1969熱心な大島映画ファンですが、再度見ることは辛いものがある。この主人公の少年は本当に凛々しい。
33東京流れ者鈴木清順1966意図的に(?)省略した編集が余り気にならない歌謡曲映画。
34刺青一代鈴木清順1965清順美学と言われる色彩満載。晩年の芸術的作品群は独りよがりの感じがするのですが?
35約束斎藤耕一1972若者と中年女との切実な恋物語。映画ファンでよかったと思える逸品。
36赤いハンカチ舛田利雄1964裕次郎映画ではこれがベストワンです。
37白い指の戯れ村川透1972日活ロマンポルノの初期の傑作。主演の才人、荒木一郎はいまいずこ。
38青春狂詩曲中山節夫1975高校を舞台にしたこれぞ教育映画。
39八月の濡れた砂藤田敏八1971当時の映画青年を熱狂させた伝説の映画。
40裸の十九才新藤兼人1970連続射殺魔・永山則夫の映画化。
41野菊の如き君なりき木下恵介1955信州の風景が実に哀しく感じられる。下記の「聖子」判との比較も面白い。
42野菊の墓澤井信一郎1981松田聖子の映画と侮るなかれ。「くささ」を取った澤田演出は見事。
43キッズ・リターン北野武1996たけしの素直さが出ていて一番好感が持てる。
44乾いた花篠田正浩1964先にコマ、先にコマと呪文のように唱える、賭場の場面が印象に残る。
45一条さゆり 濡れた欲情神代辰巳1972玄人筋に大絶賛を受けたストリッパー物語。高橋明歌うところの「なかなかずくし」に乗って軽快なテンポで展開する。
46さすらいの恋人 眩暈(めまい)小沼勝1978小沼監督が得意とするSM物は苦手ですが、この作品はいい。ポルノとしての前提があるがためそんなに綺麗な女優さんを使えない。そこを逆手にとった庶民の恋物語に仕上げている。劇中に流れる中島みゆきの「わかれうた」が一層盛り上げる。
47(秘)女郎責め地獄田中登1973アート系ロマンポルノ。故林美雄氏が深夜ラジオ番組「パックインミュージック」て゛絶賛していたのが懐かしい。
48人間の条件 五部作小林正樹1959
~1961
日中戦争を舞台にした戦争と人間の本質に迫る膨大な作品。今作っておかなければという切実感が伝わる。佐藤慶の鬼軍曹が怖い。
49影の車野村芳太郎1970因果応報・子供の中に潜む残酷さにかつての自分をみる。 
50四年三組のはた藤井克彦1976ポルノを作りながら一方では、児童劇映画を撮る日活の不思議。
51ともだち澤田幸弘1974ちよっとおませな子供の活躍が日活らしい。
52ヒポクラテスたち大森一樹1980医大を卒業した監督の代表作。伊藤蘭が実質一人立ちした作品。
53女囚701号 さそり伊藤俊也1972梶芽衣子、衝撃の出世作。但し強烈なイメージのため方向転換が出来ず、一時苦悩しているように感じられた。
54博奕打ち 総長賭博山下耕作1968三島由紀夫が絶賛して有名になる。私生活でも犬猿の仲である鶴田浩二と若山富三郎の葛藤がすさまじい。
55のど自慢井筒和幸1999のど自慢に集う人々を手際よくまとめている。
56お葬式伊丹十三1984なぜ監督は自殺で幕を引いたのだろうか? 一貫して体制側からの映画であった結果、闇から圧力は相当なものだったことがうかがえる。
57異人たちとの夏大林宣彦1988優しさに満ちた大林作品。名取裕子のおばけが魅力的。
58キューポラのある街浦山桐郎1962主演の吉永小百合にはこれ以上の作品はない。
59おとうと市川崑1960暗く寂しい姉弟の物語。「うっすらと寂しいのはやり切れない」
60神様のくれた赤ん坊前田陽一1979ほとんど喜劇しか撮らなかった監督。涙なくしては見られない傑作。
61大地の子守歌増村保造1976理詰めのオーバーアクションを得意とした監督。晩年まで創作意欲が衰えなかった。原田美枝子力演。
62狂った野獣中島貞夫1976映画界随一のエリート監督。どんな作品も器用にこなすも真の傑作は多くない。
630課の女 赤い手錠野田幸男1974不良番長シリーズを延々と撮ってきた監督唯一の傑作。
64砂の器野村芳太郎1974子役がとってもいいため泣かせる映画に仕上がっている。涙を流す変な刑事・丹波哲郎もこれでいいのかもしれない。
65下町の太陽山田洋次1963けなげな下町娘を倍賞千恵子が好演。
66霧の旗山田洋次1965滝沢修の重厚な演技が格調をもたらす。
67さらば夏の光よ山根成之1976郷ひろみの役者としての才能を改めて認識した作品。
68遺書 白い少女中村登1976芝居心がある桜田淳子、宗教に走ったのは残念。
69半世界阪本順治2019稲垣吾郎がまるで違和感なく主演、才能を見せる。この世の中の不条理を何気なく描きつつ、暴力の怖さと魅力をも静かに語る。阪本作品では最高作だと断じる。
70無頼より 大幹部舛田利雄1968渡哲也扮する「人切り五郎」の大活躍のシリーズ物の初作。東映の任侠物より軽さが信条、山本直純の主題歌がいい。
71剣と花舛田利雄1972近親相姦風の兄妹愛を描く。新藤恵美が絶品である。一生に一度こんな作品に出会えれば幸せではないでしょうか。
72人間革命舛田利雄1973創価学会の全面協力による映画。タイアップ映画にありがちな遠慮めいたものがなく、立派な宗教映画になっている。
73処刑の部屋市川崑1958若尾文子主演。後年彼女が言うには、「作品の評価と自分の好き嫌いがかなり違っている」と、この過激な作品など最も嫌いな部類だろう。映画は監督のもの、舞台は女優のもの。そんな言われ方もする。
74ザ・レイプ東陽一1982天才肌の田中裕子を生かしきった作品を作ってほしいものだ。
75風の谷のナウシカ宮崎駿1984思想的には頂点の作品。
76青春の蹉跌神代辰巳1974不定形の芝居を得意とした、萩原健一と桃井かおりによってかなり風変わりな青春映画に仕上がった。
77うれしはずかし物語東陽一1988川上麻衣子主演なのに中年夫婦寺田農、本阿彌周子が圧倒的にいい。艶笑話をこれだけあけすけに、且つ品よく(?)まとめたのは監督の力量。
78ゴジラ-1.0山崎貴2023技術もここまでくれば立派なもの、贔屓の浜辺美波が生きていたことは意外ではないが娯楽映画としてはうまい作りだ。
79人情紙風船山中貞雄1937戦前の映画なれど古さ感ぜず。
80ガメラ 大怪獣空中決戦金子修介1995初代ゴジラを超えたのはこの映画だけでしょう。
81「昭和残侠伝」死んで貰いますマキノ雅弘1970東映ドル箱シリーズ最高傑作、映画導入部の「つかみ」の涙、藤純子の美しさ、池部良の端正な演技が素晴らしい。
82リング中田秀夫1998伝統的な幽霊物と違った怖さ。
83可愛い花井田探(いだもとむ)1959わずか49分という中編映画、映画としての出来云々は抜きにして「ザ・ピーナッツ」という才能に光を当てた明朗快活な歌謡曲映画。当時を知っているものとしてはひたすら涙してしまった。
84遠雷根岸吉太郎1981農村を舞台とした重い映画。
85君の名は。新海誠2018岸恵子主演の「君の名は」をSF風にアニメでリメークしたと理解している。実は結構泣ける。
86OUT平山秀幸2002日常がある時犯罪に変わる。そして、徐々に高揚してゆく女たちが眩しい。
87ザ・中学教師平山秀幸1992石部金吉風の長塚京三がうまい。教師を誘う風吹ジュンが実に色っぽい。
88忍ぶ川熊井啓1972病弱な監督が執念で作り上げた傑作。加藤剛の愚直なまでの想いがすがすがしい。
89いつかギラギラする日深作欣二1992カーアクションが目玉ながら、すでに「仁義なき戦い」シリーズの後半にかなり思い切った事をやっている。黒尽くめの殺し屋、原田芳雄最後まで彼とはわからず意義ありとの声あり。さらに、スキャンダルの渦中の荻野目慶子が痛々しい。
90夜明けのうた蔵原惟義1965岸洋子の同名の歌を使った典型的な歌謡曲映画。高度成長期の混沌とした世情と難病の話、何よりも主演の浅丘ルリ子のはつらつとした演技が涙を誘う。
91赤ちょうちん藤田敏八1974主演秋吉久美子は天性の感のよさがある。発狂場面がぞっとするほど美しい。
92書を捨てよ町へ出よう寺山修司1971若き天才小僧、寺山のもとに集まった面々がユニーク。主演はまったくの素人、父親役が映画評論家の斎藤正治、後に日活ロマンポルノ裁判を闘った後、アパートで孤独死。女医役の鈴木いずみは自殺。
93アドレナリンドライブ矢口史靖1999若手監督の有望株。全編爽快感に溢れる。
94大阪物語市川準1999美少女池脇千鶴のデビュー作。大阪芸人大挙出演。ダメ芸人の悲惨さとたくましさを笑いと涙で描く傑作。
95小さなスナック斎藤耕一1968日本には、ミュージカル映画が根付かない代わり歌謡曲映画という不思議なジャンルが存在する。パープル・シャドーズの面々が若々しい。
96天使のはらわた 赤い教室曾根中生1979若き日の水原ゆう紀は、壮絶なまでの美しさを持っていたが、近頃のテレビサスペンス物での姿は見るに忍びない。
97警察日記久松静児1955CG全盛のハリウッド映画ばかりが映画ではない。昔の薄ぼけた白黒日本映画の中の方が魂があると思うのです。二木てるみの天才子役が泣かせる。
98丑三つの村田中登1983古尾谷雅人の殺人鬼が実にユニーク。≪古尾谷自死す、彼の最高傑作は間違いなく「丑三つの村」。異能が生きにくい「今」、奥様「鹿沼えり」さんともどもひどくにっかつ作品が懐かしい。≫
99生きる黒澤明1952誰にでも平等にやってくる死。説教臭くないのがいい。
100午後の遺言状新藤兼人1995これだけの高齢になって、なお若々しい映画を撮る監督には頭が下がる思いです。
101喜びも悲しみも幾歳月木下恵介1957人生の苦労話を幾らされても白けるばかり。などと高をくくりながら見始めたこの作品、涙の土つぼにはまり込んでとんでもないことになってしまった。
102座頭市北野武2003たけし映画の最高傑作。というよりも戦後日本映画の財産とも言うべき驚愕の仕上がりです。タップのリズムが実に心地よい。
103マタギ後藤俊夫1982西村晃のマタギがすばらしい。猟犬の扱い方に批判が出ようとも、動物映画としては最高の仕上がりを見せる。
104四月物語岩井俊二1998小品ながら好ましい傑作、松たか子が初々しい。
105血と骨崔洋一2004圧倒する暴力が昇華される過程に、女優陣の頑張りが重要な役割を果たす。朝鮮半島との関係が微妙であればあるほどこの映画は輝きを増す。
106パッチギ井筒和幸2005大団円が見事な出来、ハッピーエンドに監督が託す未来の日本。
107沓掛時次郎
遊侠一匹
加藤泰1966長谷川伸原作 渡世人の虚しさを絶頂期の中村(萬屋)錦之助が好演。
108関の弥太ッペ山下耕作1963上と同じく長谷川伸原作、中村錦之助主演の名作。十朱幸代が美しい。
109ALWAYS 三丁目の夕日山崎貴2005見事な時代考証、時代が主役。膨大な涙を流させる罪な映画とも言えよう。麻木久仁子がこんなにいい女優だったとは驚きでした。
110スウィングガールズ矢口史靖2004楽しい!楽しい!傑作ジャズ映画、音響の良い映画館で絶対見るべきです。
111フラガール李 相日2006ど迫力のフラダンスシーンに圧倒される。希望のがなかなか見出せない今、若い人が語る未来に大人は責任が持てるのだろうか? 真の傑作映画に立ち会えた喜びを感じている。
112破戒市川崑1962主人公丑松の慟哭を聞け。身分差別を具体的に描いた秀作。
113チルソクの夏佐々部清2003やや地味な主人公二人を取り囲む脇役陣がすばらしい。とりわけ山本譲二の売れない流しの演歌師に感情移入してしまう中年の人が多かろう。
114長い散歩奥田瑛ニ2006この映画は、ドン詰まりの人たちに゛果たして゛勇気を与えるのだろうか?
天使の羽に込めた監督の想いをしばし考えたい。
 誰もが陥るであろう「地獄」を冷静に見つめた、渾身の一作。
115結婚しようよ佐々部清2008強烈な拓郎賛歌。今の時代に敢えて「ハッピーエンド」の映画の意味は?
病床の拓郎は、この映画をどう見るのか聞いてみたい。
116裸の島新藤兼人1960人の生活とはこの映画のような「無意味」な事の繰り返しかもしれない。それでも私たちは生きていかなくてはならないのだ。
やはり子供の死は辛い。
117 「22才の別れ」 Lycoris 葉見ず花見ず物語大林宣彦2007この曲が流れるだけでウルウルしてきてしまう。泣かせることが得意だった木下恵介監督のような展開が私にはとっても気持ちが良かった。元気の出る映画
118わが命の唄「艶歌」舛田利雄1968歌謡曲、とりわけ演歌という日陰者のようなジャンルに光を当てた傑作。日本の芸能裏面史にも言及。
119乱れ雲成瀬巳喜男1967司葉子が実に美しい。微妙な愛情表現の見事さは、監督成瀬の腕でもある。
120いつでも夢を野村孝1963吉永小百合の魅力は初期作品にあり。名曲「寒い朝」を歌うシーンは映画的陶酔感あり。
121バッシング小林政広2005人は頼りにされてこそ生きられる。田中隆三絶品
122リターナー山崎貴2002最上級のエンタテイメントSF映画、鈴木杏がいい。
123いつか読書する日緒方明2005軽やかな身のこなしの「天才」田中裕子の芝居が堪能できる一遍。それでも彼女の代表作としては認められない。
124閉鎖病棟-それぞれの朝-平山秀幸2019骨太なドラマ構成は平山監督の独壇場、人生の事情を乾いたタッチで描けば描くほど見るほうとしては感情移入してしまう。
125喜劇・女は度胸森崎東1969職業的下層の人たちへの温かい目に好感が持てる。花沢徳衛と清川虹子が圧倒的な演技をしている。ベテランの心意気を見た思いがする。
今の時代、このような逞しさがどうしても必要、「笑い泣きながら」この映画から学ぶことは実に多いと思える。
126陽はまた昇る佐々部清2002企業物としては実に熱くよく出来た一遍。それにしても佐々部監督駄作が一本もないのはすごい。
127日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声関川秀雄1950戦場で出会う恩師と学生、悲惨さが際立つ戦争映画の古典。
128ゆれる西川美和2006今村昌平監督張りの濡れ場にドッキリ。兄弟愛を人間愛にまで高めた演出の手腕はたいしたものだ。
129蛇イチゴ西川美和2002お金に絡んだお話なのに、借金の額が最後まで不明なのが不思議と言えば不思議な映画。監督の見識と見たがどうだろうか?美貌監督自分が主演したら?
130身も心も荒井晴彦1997身勝手な中年男女のお話と片付けるのは簡単だけれど、「夫婦論」として読み解くととっても興味深い。この映画のように、私たちは夫婦喧嘩の典型的な言葉を吐いていることに苦笑してしまった。
131大菩薩峠 三部作内田吐夢1957~1959「殺人肯定ニヒリズム」というような思想を映画にしたようにも思えるのだが、私も評価に戸惑っている。
132宮本武蔵 五部作内田吐夢1961~1965やはり東映時代劇、チャンバラ映画の金字塔。第四作「一乗寺の決斗」が最大の見せ場。
133一番美しく黒澤明1944国策映画に違いないが女性映画としてすばらしい出来上がり。内容がきれいごとと批判することは簡単だけれど時局にあわせて精一杯の作りこみをしている。主演の矢口陽子は黒澤夫人
134根岸吉太郎1988やや古典的な人情活劇、役所広司と渡辺謙の芝居がいい。川合郁子のバイオリンが泣かせる。
135ターン平山秀幸2000牧瀬里穂、中村勘太郎のコンビがいい。清潔感いっぱいで気持ちいい映画に仕上がっている。
136でらしね中原俊2004画家でもある奥田瑛二の独壇場。美しい日本語を操る黒沢あすかが体当たりの演技、時折見せる笑顔がすばらしい。
137余命10年藤井道人2022泣かせる映画としてはよくできている。贔屓の奈緒をはじめとする脇役陣が手堅い。
138 棚の隅門井肇2007商店主の哀しみが静かに伝わる。「商売人再生マニュアル」にもなりそうな自主映画。
139赤い鯨と白い蛇せんぼんよしこ2005「あなたを忘れない」をキーワードに人々の生きる「想い」を丁寧に描く。とりわけ浅田美代子のさり気ない演技が涙を誘う。
140紅の拳銃牛原陽一1961短命に終わった赤木圭一郎の傑作日活アクション映画。拳銃の構造から入る映画導入部がファンにはたまらない場面。
141十七人の忍者長谷川安人196363~68年ごろに盛んに作られた東映忍者映画。「忍者狩り」とともに傑作の一本、三島ゆり子が若々しい。
142ゆきゆきて、神軍原一男1987人間「奥崎謙三」がすべて、意外な”常識人”であることが分かってくる。実はこの映画の主役は奥様、淡々と旦那に寄り添う姿にある種のカンドウを覚える。
143ヨコハマメリー中村高寛2005老娼婦を語りながら、港横浜の戦後史を紐解く。まさに教育映画
144かもめ食堂荻上直子2005「コピ・ルアック」珈琲を入れる時のおまじないが耳に残る、不思議な透明感のある映画である。北欧フィンランドの「空気」をうまく映像化している。
145斬る三隅研二1962「剣」「剣鬼」と合わせて「剣三部作」の第1作目。これが一番の出来ではあるが、剣道部の内実を描いた「剣」、チャンバラシーンが楽しめる「剣鬼」いずれも水準以上の作品に仕上がっている。
146浮草物語(活弁入り)小津安二郎1934旅芸人の哀歓を込めた人情劇、涙なくしては見られない。女芸人が美しい、八雲恵美子と坪内美子という。
147丹下左膳餘話 百萬兩の壺山中貞雄1935フィルムの保存状態もよく、且つ現代の映画と比べても遜色がない、批判精神旺盛なとぼけた物語進行、天才山中の面目如実。「喜代三」おねいさんの色っぽい事と小唄が楽しい時代を超えた傑作人情時代劇。
148ずべ公番長 ざんげの値打ちもない山口和彦1971大信田礼子シリーズ第四弾最良作。映画「網走番外地」が流れるトッブシーンから快調、伴淳三郎の「カミソリの哲」が痛快。歌謡曲映画の傑作
149流れる成瀬巳喜男1956田中絹代/山田五十鈴/高峰秀子/杉村春子、当時の日本映画を支えるそうそうたる女優が競演。なかでも田中絹代扮するお手伝いさんの、一歩引いたけじめある演技がすばらしい。
150キクとイサム今井正1959混血児の姉と弟とその祖母の極貧の生活から、日本の戦後史の一端がうかがい知れる。逞しい子供たちと透明感のある音楽が印象的。
151すばらしき世界西川美和2021いつもながら西川監督の演出は男性監督と全く遜色ないほどハード。元殺人犯の更生物語としてはこれ以上のものは知らない。
152異母兄弟家城巳代治1957徹底した軍国主義憎悪の映画。「妾」から女性に自立していく田中絹代が見事。
153はだかっ子田坂具隆1961有馬稲子の現実離れした美しい教師がいい。やや古い教師像、教育像だけれど今一度この当時の教育について考えても無駄ではない
154実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 若松孝二2009赤軍映画の真打登場。後半あさま山荘内部の描き方に共感、「犯罪」への共犯こそが監督の狙いと見た。
155サンダカン八番娼館・望郷熊井啓1974「つらい場面でカメラが寄っていく」と言われた演出が見もの。
156橋のない川 【第1部】【第2部】今井正1969~1970大変な労作、DVDの特典映像で主演の長山藍子が実に慎重な言い回しでこの映画について語っているのだが、いい映画に出たことに感謝しつつも、映画の中身については観客に任せると。「部落差別」が現在も続いていることを暗示している。
157上意討ち-拝領妻始末-小林正樹1967武家制度の非情さを容赦なく描く。話が単純明快なゆえ逆にチャンバラシーンに没頭できる。三船敏郎、重厚な殺陣が冴える。
158ひとり狼池広一夫1968凛とした渡世人を市川雷蔵が演じ切る。
159にっぽん泥棒物語山本薩夫1965松川事件余話、三国連太郎圧倒的な演技で笑わせる。
160大人の見る繪本 生れてはみたけれど小津安二郎1932サイレント映画の大傑作。子供たちの表情が実に生き生きしている、ズボンに手を突っ込んで歩く姿がかっこいい、さらに大人の世界を少し知ることで成長する。
161親分はイエス様斎藤耕一2001この映画の成功は、前半のヤクザの「出入り」をリアルに描いたこと。君は改心したヤクザたちを許せるか? 永遠に彼らは、いや私たちも考えなくてはならない。
162おっぱいバレー羽住英一郎2008真っ当な青春映画の傑作。主演綾瀬はるかが微妙な女性心理を演じ切る。当時の歌謡曲満載も嬉しい。
163座頭市物語三隅研二1962現在の目から見ると、とっても地味なお話と殺陣です。結核の天知茂は絶品なのは言うまでもない。
164成熟湯浅憲明1971関根恵子、大映時代の代表作。山形県荘内地方の風土と民謡が素朴な話に合っている。情けない題名はつや消し!?
165八つ墓村野村芳太郎1977オカルト映画としては一級品、落ち武者亡霊、夏八木勲が絶品。もちろん「津山三十人殺し」が下敷き
166残菊物語溝口健二1939これも保存状態が芳しくない。芸道物としては最高の出来。溝口映画の原型はほぼ完成の域にある。
167いつかA列車に乗って荒木とよひさ2003ジャズシーンがすばらしい。音楽の専門家が結集した音楽「人生」映画の傑作。内田吐夢監督の『たそがれ酒場』のリメークなのに本家を超えている。
168君の膵臓をたべたい月川翔2017女優「浜辺美波」の誕生だと思う。細かい仕掛けが心地よい。中高生に是非見てほしい傑作。
169お嬢さん社長川島雄三1953意外な拾い物。浅草を舞台にした粋な物語が展開する。
170ロストクライム閃光伊藤俊也2010「三億円事件」の新解釈がとっても面白い「刑事もの」。真実は誰もしらないのだから、もっともらしく作るのも監督の腕。
171座頭市血煙り街道三隅研次1967第一作を除きシリーズ最高傑作。近衛十四郎の太刀さばきは流石、天下一品。
172春との旅小林政広2009現代版「東京物語」、徳永えりの過呼吸に陥るほどのラストの熱演涙なくしては見られない。
173禅 ZEN高橋伴明2010宗教映画の最高傑作。中村勘太郎、内田有紀の頑張りが見事。伴明監督のひねらないストレートな演出も堪能できる。
174悪人李 相日2010隅々にまで行き届いた演出と脇役の充実がこの映画の肝。犯罪者への冷徹な目と暖かさが奇妙な感動を呼ぶ。
175新日本暴行暗黒史 復讐鬼若松孝二1968初期の(世間の顰蹙を敢えてかう)若松ピンク映画の代表作。「津山三十人殺し」がモデル、哀調の音楽が際立つ。
176散り椿木村大作2018美しい日本の風景と圧倒的な「殺陣」が見事。
177刺青増村保造1966反社会的な殺戮場面が宮川一夫のカメラで美しい。主演の若尾文子は美しさを通り越した妖艶さで観客にも迫る。
178一枚のハガキ新藤兼人2010ぼろきれの様な女を演技派大竹しのぶが熱演。姑が自殺するシーンの切なさ、弟と再婚そして初夜の哀しいまでの愛おしさ、戦争の悲惨さが如実に表れたシーンである。
179KT阪本順治2002金大中拉致事件の映画化、どの程度現実の事件とリンクしているのかは定かではないが本当らしさが際立つ一作。韓国人俳優がなかなかいい。ラストはどこかで見た気はするが意外性に拍手!!
180瀧の白糸(活弁入り)溝口健二1933無声映画、水芸人「入江たか子」と苦学生「岡田時彦」の愛憎激しい悲恋もの。弁士を交えても全く古さを感じさせない。入江たか子が美しい。
181長屋紳士録小津安二郎1947「人の情を信じてみよう」と思わせる。主演子役青木放屁(青木富夫)は後年ロマンポルノ「恋狂い」(1972年製作)等に出ている。
182「fmale」「ユメ十夜」西川美和20052007西川美和監督による傑作オムニバス映画。「fmale」一遍「女神のかかと」の大塚寧々、「ユメ十夜」9話の緒川たまきの美しさは、「エロス」の域まで達している。
183青い鳥中西健二2008いじめ問題は永遠になくならないという認識から始めなくては・・・。主演阿部寛のツボにはまった奇妙な熱演はほんの少し「希望」が見える。性急な解決法はどこにもないのだ。
184息子山田洋次1991身障者に対する描き方がきれいすぎるという批判はわかる。それでもラストシーンの三国連太郎の演技と監督の描く寂寥感はすごい。
185非行少女浦山桐郎1963主演和泉雅子、一人の不良少女が少しずつ成長していく過程が丁寧に描かれている。今や伝説の域に達した名作。
186五人の斥候兵田坂具隆1938日中戦争を描く戦前の作品。斥候兵が大地を疾走する姿がアクション映画としても爽快感を覚える。「君が代」「海ゆかば」を自然に歌いだす場面、さすがに戦前の映画かもしれないが素直に感動してしまう。ラストシーン、絶望的な戦場に赴く兵士に戦争のむなしさを静かに訴える。
187北のカナリアたち阪本順治2013主演吉永小百合、晩年の作品としては一番出来がいい。「二十四の瞳」吉永版といった塩梅だけれど「泣きの映画」としても合格点。
188舟を編む石井裕也2013辞書編纂という地味な作業を丹念に追う。主演松田龍平と宮崎あおいはもちろんだが、他の俳優陣の的確な演技が絶品なのである。これほど充実した日本映画はめったにお目にかかれない。私は笑いながら、不覚にもいつしか涙を流していた。
189永遠の0山崎貴2013打ち震えるほどの感動をこの映画から受けたのだけれど、さてこういう映画を作っていいものだろうか? 映画は「英霊の鎮魂」というよりある種の神がかりの物語、「軍神」の色合いが濃い。すっと背筋が寒くなる。大ヤクザを演じる田中泯が一人すば抜けている。
190闇に浮かぶ白い肌西村昭五郎1972中島丈博のシナリオがいい。世紀末風の描写と相まって主演白川和子の知られざる日活ロマンポルノの代表作である。
191小さいおうち山田洋次2013主演松たか子のベスト映画である。女中役黒木華の抑えた演技と松の品のある色気が映画をふくよかなものにしている。晩年の山田作品としても最高作である。2014年現在の日本映画トップ女優は松たか子であることを確認できる記念碑的作品である。
192仁義の墓場深作欣二1975異様な暴力映画だ。好き嫌いがはっきり分かれる。深作自身は好きな作品だという。
193カミハテ商店山本起也2012主演高橋惠子の「歩みのリズム」と「民族音楽のリズム」が見事に主題に寄り添う。自殺を止めない高橋の女商店主は決して不快さを呼び込まない。結局生きる意味を静かに訴える。この映画を見た人は決して死ねない。なぜなら希望の映画でもあるからだ。
194海街diary是枝祐和2015綾瀬はるか 、長澤まさみ 、夏帆、 広瀬すずのアンサンブルが実に自然で気持ちいい。とりわけ広瀬すずの美少女ぶりに期待を持つ。
195天空の蜂堤幸彦2015実にウエットな熱い熱い日本型一級アクション映画。70年代に流行ったテレビの刑事もの「特捜最前線」風なのがおかしい。主役の妻役「石橋けい」という地味な女優に注目したい。
196霧笛が俺を呼んでいる山崎徳次郎1960ラスト、芦川いずみとの別れシーンのあっさり感と想い入れたっぷりの歌謡曲シーンの繰り返しは「余韻」に侵たりたいファンにはたまらない場面である。赤木圭一郎最良作
197かぞくのくにヤン・ヨンヒ2012在日コリアン2世の実体験を基にした「痛切」ドラマ、NHK放送2022年「こころの時代~宗教・人生~ オモニの島 わたしの故郷~映画監督・ヤンヨンヒ~」是非参考にしてほしい。
198怒り李相日2017「無理筋」を感じないではない。しかしながら、女優陣の頑張りで見事な仕上りであることには変わりはない。とりわけ宮崎あおいの演技は崇高さのレベルまで持って行っている。
199ストロベリーナイト佐藤祐市2013竹内結子が自殺して大分たつ、彼女の代表作はこの映画ではなかろうか? 影を引きずりながらの刑事役、そして好演大沢たかおとの恋愛風人間模様は素晴らしい。それにしてもなぜ子供を置いて自殺してしまったのか? その才能には未来があったはずだ。
200A森達也1997オウム事件を内部から写したドキュメンタリーとしては外せない。事件の大きさに比べ追求の甘さを感じつつも、外から見る事件とオウム信者の人間性の対比が見るものに混乱を起こさせる。途中流される楽曲がほっとさせるとともに映画的高揚感がよい。
201
番外篇
日本艶歌考 新版・亜樹旅日記(11)≪無常篇≫管理者の自主製作2024
YouTube公開
管理者の毎年1本限りの追っかけ動画。東亜樹の楷書風歌い方が「行書風」に変化していることを確認することができる。
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番外篇
 
艶歌御伽草子 新版・亜樹旅日記(10)《名護屋人情篇》管理者の自主製作2023
YouTube公開
天才歌手として一部から熱い支持を得ている「東亜樹」コンサート風景。私の知る限り『エルビス・オン・ステージ』1970年アメリカ映画のような傑作日本映画は存在していません。
《優れた映像作品》
・BABYMETAL LIVE AT WEMBLEY 2016 DVD
・『泉谷しげる MTV Premium Live in duo』(DVD、2007年10月26日)
203
番外篇
帰ってきた東亜樹 新版・亜樹旅日記(9)《永久保存版》管理者の自主製作2022
YouTube公開
撮影条件が悪く、管理者の手持ちカメラによる試作品に近い仕上がりです。

好きな外国映画 BEST50+

順位タイトル監督製作年memo
1フェデリコ・フェリーニ1954哀しい大道芸人の話
2処女の泉イングマール・ベルイマン1960私の大好きな監督
3博士の異常な愛情スタンリー・キューブリック1963ブラックな笑いが怖い。
4激突!スティーブン・スビルバーグ1972テレビ用に作られた大傑作、彼はまだこれを超えた作品はない。
5ライアンの娘ディビット・リーン1970世評の高い「アラビアのロレンス」よりこちらが好み
62001年宇宙の旅スタンリー・キューブリック1968ラストの哲学的な30分に異論があろうがこの映画の偉大さは変わらず
7卒業マイク・ニコルズ1967誰もが想い出す青春時代
8リトル・ロマンスジョージ・ロイ・ヒル1979ダイアン・レインが実にかわいい。子供を使った最高作
9男と女クロード・ルルーシュ1966この作品が最高作、一発屋と言うと気の毒な感じもするが自分のスタイルから抜け出せず。
10エイリアンリドリー・スコット1979音と光の洪水に本当に酔った。
11ブラザー・サン、シスター・ムーンフランコ・ゼフェレッリ1972宗教色の強い作品が多いがこれは絶品
12マッドマックスジョージ・ミラー1979スタントマンが死んだ(?)とも言われるカースタントが凄まじい。
13禁断の惑星フレッド・M・ウィルコックス1956SFの古典、潜在意識の怪獣が衝撃
14自転車泥棒ヴットリオ・デ・シーカ1948貧しさのための泥棒、ラストシーンは胸が詰まる
15禁じられた遊びルネ・クレマン1952これぞ反戦映画
16風と共に去りぬヴィクター・フレミング1939テーマ、技術共に戦前の映画と思えず
17アルフレッド・ヒッチコック1963鳥が人間を襲う
18フューリーブライアン・デ・パルマ1978ヒッチコックの再来とも言われた監督。清順ばりの画面作りが新鮮
19青い体験サルヴァトーレ・サンペリ1973映画的な価値はともかくこんなに色っぽい映画はめったにない。この映画に匹敵するのは日本映画「うれしはずかし物語」?
20エデンの東エリア・カザン1955甘美で有名な主題曲に似ず辛口青春物
21悪魔のいけにえトビー・フーパー1974自動のこぎりで追い回すラスト30分はほんとに唖然
22男たちの挽歌John Woo 呉于森1986香港映画 東映任侠映画の影響が見て取れる
23ワイルドバンチサム・ペキンパー1969ラストの大殺戮は語り草
24おもいでの夏ロバート・マリガン1971哀切極まりない音楽
25駅馬車ジョン・フォード1939黒澤明の師 西部劇の古典
26ミクロの決死圏リチャード・フライシャー1966アイデアが抜群
27ローマの休日ウイリアム・ワイラー1953やはりヘップバーンの代表作
28アイズ ワイド シャットスタンリー・キューブリック1999美男美女が織り成す心理劇
29ベンハーウイリアム・ワイラー1959ハリウッドの財産
30白いドレスの女ローレンス・カスダン1981キャスリーン・ターナーの美貌が映画の最大の魅力、「ペギー・スーの結婚」のあたりになると普通のおばさんになっていました。
31山の郵便配達フォン・ジェンチイ1999黒澤映画の影響ありと見たがいかがでしょう?
32イージー・ライダーデニス・ホッパー1969アメリカンニューシネマ、やはり20歳代に感動した映画が印象に残る。
33奇跡の人アーサー・ペン1962主演の二人の演技が神がかっている。
34ニュー・シネマ・パラダイスジュゼッペ・トルナトーレ1989映画好きにはこたえられません。
35地獄の黙示録フランシス・フォード・コッポラ1979圧倒的な物量
36ボイジャーフォルカー・シュレンドルフ1991何の知識もなく深夜映画を録画して観た作品。この悲劇にはびっくり仰天
37草原の輝きエリア・カザン1961小柄なナタリー・ウッドは日本の高峰秀子と勝手に私は思っています。
38鏡の中にある如くイングマール・ベルイマン1961この映画の透明感に心が洗われる。
39真昼の決闘フレッド・ジンネマン1952今は亡きグレース・ケリーが美しい。
40ストリート・オブ・ファイヤーウォルター・ヒル1984いつもスマートなヒル作品、ダイアン・レインが美しく成長している。
41獲物の分け前ロジェ・ヴァディム1966耽美派監督
42U・ボートヴォルフガング・ペーターゼン1981艱難辛苦の映画 すぺてをぶち壊すラストをどうみるか?
43猿の惑星フランクリン・J・シャフナー1968抜群のアイデアと文明批評
44ひまわりヴットリオ・デ・シーカ1970いろいろ批判がありそうな作品。ひまわりと音楽に騙される?
45太陽がいっぱいルネ・クレマン1960某殺人事件の重要参考人になったドロン、はまり役。
46ウエストサイド物語ロバート・ワイズ1961ミュージカルはちょっと苦手、ナタリー・ウッドファンでして…
47あなただけ今晩はビリー・ワイルダー1963シャーリー・マクレーンがかわいい。粋な笑い満載
48吸血鬼ロマン・ポランスキー1967後に、マンソンという男に洗脳された「狂信集団」により惨殺されるシャロン・テートが出演
49エルビス オン ステージデニス・サンダース1970エルビスの圧倒的なパフォーマンス
50ビートルズ レット・ イット・ビーマイケル・リンゼイホッグ1970映画の出来はやっぱり? 好きな彼らの曲で満足
51フルメタル・ジャケットスタンリー・キューブリック1987戦争を冷徹な目で見る。ラストに衝撃が待ち受ける。
52硫黄島からの手紙クリント・イーストウッド2006硫黄島二部作。「父親たちの星条旗」より出来がいい。外国人が作った日本映画と言ってもいいほど、違和感のないのはすごい。
53鬼が来た!チアン・ウェン2000軍艦マーチが流れる中国映画、日本軍人の描き方が秀逸。
54初恋のきた道チャン・イーモウ1999これほど痛切な恋愛映画は多くない。
日本映画「約束」「泥の河」に匹敵する大傑作だと思う。
55アイドルを探せミッシェル・ボワロン1963シルヴィー・ヴァルタン主演の“アイドル映画”。次々に登場のアイドルに程よい場面を割り振られている。
56ピラニアアレクサンドル・アジャ2011パニック映画としては「ジョーズ」以上の仕上がりです。一番の違いは「品格」なのですが、その下品さがまた実に味わい深いということで・・・・(笑)。

ワースト映画に愛をこめて WORST10

順位製作会社タイトル監督製作年主演memo
1東映 京都撮影所徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑牧口雄二1976内村レナ東映には、60年代後半に悪名高き「徳川女刑罰史」シリーズが石井輝男監督によって作られている。さすがに職人監督らしく好事家向きにそつなく作られてはいる。それに比べ牧口作品は、延々と続く拷問シーンに、見ること自体が苦痛を強いる。当時映画館で妙に力が入った、これほど酷い最低映画は、2度とお目にかかれないであろうと最後まで席を立てなかった。
2日活配給黒い雪武智鉄二1965花ノ本寿 紅千登世猥褻か否かで裁判になり、作品としてほとんど論ぜられたことのない映画。作品全体を覆う陰鬱な雰囲気がたまらなく、「反米」と言うお題目がなかったら映画の呈をなさない代物。後の「白日夢」「花魁」などブルーフィルムの世界。
3石原プロモーション製作 東宝配給蒼ざめた日曜日森谷司郎1972浅丘ルリ子 若林豪1972年の東宝作品はなんとも気の抜けた作品が並んでいる。「制服の胸のここには」「その人は炎のように」「辻が花」(私の田舎鳳来寺山でロケをしている)小川知子の「恋の夏」なんて珍品もあった。そうした中、最低ランクのこの作品「蒼ざめた東宝」などと揶揄されもした。若林豪はテレビのまんま、ルリ子さんがほんとに気の毒でした。
4東宝配給梟の城篠田正浩1999中井貴一篠田作品最高傑作「心中天網島」を見た時の驚き、それ以降「沈黙」「はなれ瞽女おりん」が印象に残るも悲しいぐらい年とともに、力の衰えを感じてしまう。CGを多用した「梟の城」そこそこヒットしたと言う、まだNHKの大河ドラマの方がおもしろくないか?
5東宝影武者黒澤明1980仲代達矢この映画、私だけでなくセリフが聞き取れないとの声があり、まず印象が悪い。多くの人がチャンバラを期待したがそんなシーンは皆無。観念的な時代劇を狙った意図は理解しつつも無残さだけが残る。
6スタジオジブリ・東宝他千と千尋の神隠し宮崎駿2001アニメ大御所になった監督、高みからのアニメになった気がする。前作「もののけ姫」の説教くささもいただけない。手塚治虫さえも嫉妬させた才能、老け込むのはまだ早い。
7角川春樹事務所人間の証明佐藤純弥1977松田優作今や薬物中毒で塀の中の角川春樹、大量宣伝で駄作までもヒットさせてしまった。その後も映画好きの体質は変わらず幾本かの良質な作品を製作している。なぜか憎めぬ時代の寵児であった。
8松竹配給男はつらいよ
寅次郎紅の花
山田洋次1995渥美清死相が漂う渥美清、浮世の義理で作ってしまったそんな映画は見たくないし見せてはいけないと思っています。「激動の1750日」の亡霊のような中島葵、「写楽」の声に張りのないフランキー堺、等々ファンであればあるほど悲しい。
9若松プロダクション新日本暴行暗黒史 復讐鬼若松孝二1969吉沢健敢えてひんしゅくを買うような映画こそ俺の映画だと豪語する監督。全編乾いたタッチで差別されし若者が人を殺してゆく、見るものに罵詈雑言を叩きつける。自由な解釈をしないと見ていられない。こんな映画もあったんです。
10日活配給海は見ていた熊井啓2002清水美砂「忍ぶ川」「サンダカン八番娼館・望郷」を頂点に緊張感のない作品が続いている熊井監督。この作品は、黒澤明のシナリオが決定的に時代とのずれを作ってしまっていると思う。
番外東映聖獣学園鈴木則文1972多岐川裕美東映(東京撮影所)お得意の風俗物。どおってことのない作品でしたが後年主演の多岐川がハダカの場面は私ではないと言い出した事には呆れてしまった。自分のデビュー作には責任を持たなくては、鈴木監督が気の毒でした。

チャンバラ映画傑作選 BEST10

順位タイトル監督製作年一言メモ
1七人の侍黒澤明1954世界のアクション映画のお手本
2用心棒黒澤明1961骨を断ち切る音にびっくり、殺陣の擬音に革命をもたらす
3十三人の刺客工藤栄一1963この傑作2本で熱狂的な工藤ファンを獲得
4大殺陣1964
5座頭市北野武2003やはりこのランクあたりに入る傑作でしょう。
6子連れ狼シリーズ三隅研次1972若山富三郎、殺陣のうまさは絶品
7宮本武蔵シリーズ内田吐夢1961中村錦之助、時代劇役者として絶頂期をやや過ぎた頃の作品群
8浪人街黒木和雄1990この映画の完成後主演の勝新太郎が大麻で逮捕され、公開が大幅に遅れた。不幸な公開をされたものの映画の出来は優れている。流れるようなチャンバラシーンが魅了する。
9血槍富士内田吐夢1955チャンバラ映画に入れるのはやや無理なのですが、監督中国抑留から帰国後はじめての作品。「海ゆかば」ラストに込められた監督の心情に慟哭。
10続・座頭市物語森一生1962若山富三郎=城健三朗が主演、勝は殺陣に関しては兄の方がはるかに上手だと認識していたし、この作品を見るとよく理解できる。

藤田敏八監督傑作選 BEST10

順位タイトル製作年一言メモ
1帰らざる日々1978アリスが主題歌を歌う
2八月の濡れた砂1971石川セリの歌うラストシーンが実に印象的
3赤ちょうちん1974秋吉久美子は天性の感のよさがある。発狂場面がぞっとするほど美しい。
41974同じ秋吉の主演、彼女の持つ開けっぴろげでやや下品さが妙な雰囲気をかもし出す。近親相姦風のやるせなさが物語の下地
5非行少年 陽の出の叫び1967藤田監督デビュー作、白黒画面に魂がこもる。
6もっとしなやかに
もっとしたたかに
1979藤田監督ロマンポルノを何本か撮っているが水が合わないのか凡作に終わる。この作品も通常作品の成人向けと言った趣。確か奥田瑛二の初顔見世だったと思う。
7赤い鳥逃げた?1973桃井かおりがブレークする少し前の作品。
8リボルバー1988藤田監督最後の監督作品。晩年俳優として結構楽しくやっていたと言う。そんな話を赤座美代子さんが語っていた。
9危険な関係1978宇都宮雅代がとっても色っぽい。テレビでも和服姿のお化けを好演。
10野良猫ロックシリーズ1970~若き日の和田アキ子、梶芽衣子などぞくぞく出てきてとっても楽しいシリーズ。

列伝・勇気ある女優たち

女優名知られざる代表作一口メモ
永島瑛子女教師(1977田中登監督)そんなに美人でもなく普通、ところが役に没入したときの「切れの良さ」が抜群
白川和子闇に浮かぶ白い肌(1972西村昭五郎監督)日活ロマンポルノ第一弾「恋狂い」で実質メジャーデビュー、ポルノに対する偏見があった時代に孤軍奮闘す。闇に・・は中島丈博のシナリオ、通の間では伝説の作品(ちよっとオーバーですが)
岡本 麓暴行切り裂きジャック(1978長谷部安春監督)テレビドラマ「はぐれ刑事純情派」の晴ちゃん役ですっかりおなじみの彼女、若き日の役どころも決してめげないさっぱりした女性を好演。このあたりのロマンポルノの男役で一番光っていたのが何を隠そう「蟹江敬三」でした。
中島 葵さらば愛しき大地(1982柳町光男監督)「雨月物語」等で有名な森雅之の私生児として生まれる。ロマンポルノからデビュー(その前に若松プロ作品あり)しその後一般映画からテレビドラマまで幅広く貴重な脇役で活躍する。その「崩れ」た演技に独特のものがあった、しかし1991年若くして癌死享年46歳。
黒木 瞳化身(1986東陽一監督)「化身」無用な裸が多すぎると酷評された作品。東監督は商業性と芸術性を良くも悪くも使い分けながら作っているように見受けられる。明らかに娯楽に振ったこの作品「男性週刊誌」がもっとも喜びそうな仕上がり、これも監督の腕だと思うのですが…
飛鳥裕子夢野久作の少女地獄(1977小沼勝監督)殺人肯定の作家とも言われる夢野久作、ドクラ・マグラしか読んだことがないのですがその作風は「とんでもない」とでも言うしかない狂気の世界。
この頃の日活は裸さえ出てくればすべて企画が通ると言う、アナーキーな映画作りが進行していたと傍目にも思えた。飛鳥裕子は三浦リカの姉
乙羽信子落葉樹(1986新藤兼人監督)新藤監督と乙羽さんとのコンビはある意味「超マンネリ」、だが今はもう無理。乙羽信子が亡くなりこのコンビは夫婦以上の結びつきであったことが多くの作品で証明している。
大地喜和子裸の十九歳(1970新藤兼人監督)まだまだ発展途上に事故死、伝説の人になってしまった。
寺島しのぶ 未知の魅力、久々の本格的な女優の出現。